昨年(2025年10月)公開された映画『ソーゾク』。 劇中で松本明子さんが「相続診断士」役を演じられるということで、同じ資格を持つ者としてとても楽しみにしていましたが、当時は上映館が限られており観ることができず、残念に思っていました。そんな中、相続診断協会が主催する特別上映会の機会に恵まれ、やっと観賞することができました!
物語は、父親をすでに亡くした母親の逝去をきっかけに、4人の子供たちが遺産を巡って揉めに揉めるというお話です。
相続財産(現金)はそれほど多くない、ごく普通の家庭。焦点となったのは、両親がいなくなった「実家の処分」でした。
- 実家を売却して現金で分けたい長女と次女
- 実家を継いで移り住みたい次男夫婦
- 夫(長男)はすでに他界しているものの、義母と同居して面倒を見てきた長男の嫁。しかし相続権がなく蚊帳の外に置かれ、売却となれば家を追われてしまう立場……
長男の嫁に中山忍さん、長女が大塚寧々さん、次女が有森也実さんという美しい女優陣が、それぞれの主張を曲げずに険しい顔で争う姿は、「どの家族にも起こりうるリアルな現実」として胸が締め付けられる思いでした。
もとは仲の良かったはずの兄弟。しかし、それぞれが結婚し、自分の家族や生活を持つようになると、守るべき事情や優先順位が変わってきます。
それぞれが「自分の家族の生活や権利を守りたい」と動くのは、ごく自然なことかもしれません。だからこそ、劇中の生々しいやり取りに深く考えさせられました。
作中では、亡くなった母親が遺言書を残していたことが判明するものの、その内容に子供たちが納得できず、裁判にまで発展しかねない事態に陥ります。
遺言書はただ形式的に用意すれば良いというものではありません。 「遺される家族への愛のメッセージ」であること、そして相続後に揉めないための配慮や、元気なうちに家族でよく話し合っておくことの重要性を痛感しました。
映画の中で松本明子さん演じる相続診断士は、当事者たちの間に立ち、声に耳を傾け、道筋を照らそうと奮闘していました。
相続は、決して単なる「財産の引き継ぎ」ではありません。 残された家族が、これからの人生を笑顔で歩んでいくための「家族の未来へのバトンタッチ」です。
どうすればこのような争いを減らし、笑顔の相続を実現できるのか。 そのためには、まず「何をするべきか知ること」から始めることが何よりも大切だと感じています。知らなければ、準備をすることもできません。
「まだ先のこと」と思わずに、今やれること、準備できることは何か。それを知って行動へ移すことが、笑顔の相続と争いの相続の分かれ目になるのだと思います。
相続診断士として1つでも争いの相続を減らすため、私たちにできる役割は何なのか。改めて考えさせられた映画鑑賞でした。