「うちには関係ない」は大きな誤解? 相続争いが起きやすいのは、むしろ遺産が少ない家庭だった!
「相続争いなんて、お金持ちの話でしょ?」「うちにはそんなに遺産がないから大丈夫!」 もし、あなたがそう思っているなら、それは大きな誤解かもしれません。実は、司法統計データを見ると、相続を巡る争いの多くが、決して多額ではない遺産を持つご家庭で発生していることがわかります。
上記に示した円グラフをご覧ください。2020年の司法統計によると、遺産分割の調停・審判事件の約8割が、なんと遺産額5,000万円以下のご家庭で起きているのです。
なぜ、「少額」の遺産で争いが起きやすいのでしょうか?
それは、「分けにくい財産」が原因となることが多いからです。例えば、自宅しかない、預貯金が少ないといった場合、家族間で「誰が住み続けるのか」「売却するのか」などで意見が対立しやすくなります。また、現金の割合が少ないと、特定の人が不動産を相続し、その代わりに他の人に現金を支払う「代償分割」が必要になる場合もあります。
さらに、金額が少ないからこそ、かえって「少しでも多くほしい」という感情や、これまで蓄積された兄弟姉妹間の不満や感情的なしこりが表面化し、争いに発展してしまうケースも少なくありません。
相続は、誰もが避けては通れない道です。遺産の多寡にかかわらず、あなたのご家庭でも起こりうる問題なのです。
争いごとに発展してしまうのは、実は遺産額が少ない場合の方が多いのだということを肝に銘じて、「まさか、うちが?」とならないためにも、元気なうちから「もしも」に備えることが何よりも大切です。遺言書の作成や、ご家族での話し合いなど、今できることから始めることで、大切な家族が争うことなく、円満な相続を実現できるでしょう。